孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

バカにしつつも羨ましい話

 息子が長らく少年サッカーをやっていた関係で、同年代のガキどもと触れ合うことが多かった。特に小学校最後の年はキャプテンに推挙されてしまったため、色んなところへも遠征試合に行ったりした。

 その頃の私は仕事で多忙を極めていたことに加え、妻の精神疾患の症状も最悪で、自分自身 正に最もしんどい状況であった。やっと取れた休みでも 時期によっては2回に一度は試合と重なり、キャプテンの保護者として チームの応援席の設営をしなければならないという不文律に従い、我が子に加え 当日試合会場までの足がないチームの他のメンバーを乗せて車を出す。

 そんな訳で、私は貴重この上ない休みにもかかわらず 早起きして寝ぼけながら 息子の弁当を作り、さらに車を出さないといけない運命に 心から嫌悪した。しかしその反面 道中は決して辛い時間ばかりでもなかった。なぜなら車内にいる平均年齢が10歳に満たないガキどものアホ話に参加するのは、彼らの純粋で真っ直ぐな日常や価値観に触れることができる 貴重な時間でもあったからである。

 99%は他愛もない話だ。あの先生はオッパイが大きい、あの女のパンツが見えた、あいつはもうブラジャーをしてる といった学校の与太話、またある時はお笑い芸人のネタについて。そんなある日 ひょんなことから 男性のシンボルの話になった。まぁよくあることだ。ある少年が、アレの長さはどこで測るのが正しいのか?という疑問を一同に問いかけた。聞けば物差しをあてる場所によって計測値が変わってしまうから正確な数値がわからない というわけだ。

 なるほど。私も興味を持って 彼らの話の行方に耳をすました。上側で測ると 測りやすくはあるが短めの数値が出る。下側で測ると 数値を伸ばすことはできても 始点がどこなのかがわからない!とある子が訴え、私も含めた車内の一同が同意したものだ。何でもその計測を授業中にやったというのだから なかなかシュールだ(笑) 授業中 自分のズボンの中に物差しを突っ込んで友達と議論する子供の無邪気さが 私の頭の中で映像となった。

 帰宅後、妻にその一部始終を話した。すると明らかにバカにしたような顔をして「男はしょーもない」とボソリと言った。しかし、ユニフォームを片づけている息子の横顔を見ながら「でも だから男は羨ましいなぁ」とつぶやいて、横を向いて目を閉じた。