孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

忘却の彼方

 人間は忘却の生き物だ。色んなことを忘れられるから生きていける。忘れるということは、神が与えたもうた人間の能力に違いない。しかし全ての出来事を忘れるわけではなく、残った記憶のかけらが時に私たちを苦しめる。辛い思い出は地下倉庫に二度と開けることのない鍵をかけて永久に封じたいのに、奴らは不意に出てくる。今でも思い出したら深い沼の底に突き落とされるように感じる出来事がいくつかある。あの日の言葉、あの時の行動。悔やんでも悔やみきれないことのなんと憎らしいことか、、、。人には色んな後悔があるだろうけど、一番質の悪い後遺症が残るのは「ある人を深く傷つけてしまった」ということはもちろんなのだが、「守りたかった人を守れなかった」という悔いは、この身が切られるようだ。あの日を忘れてしまいたい。あの日の自分を消し去りたい。

 ところがだ。年齢のせいか、忘れてはいけないことを忘れてしまうのも事実だ。本当に最近忘れっぽくなった。つい今しがた思ってたことがコロッとどこかへ消えるんだけど、あれはどこに行くのだろうか(笑)  よく2階に上がったら何しに来たのかわからなくなったという笑い話があるけど、あんなことは毎日のことだ。人の名前が出てこない(笑)  どうもやることが2つあるということが既にダメみたいだ。2つ目のことが何だったか思い出せないのではなく、1つ目のことが終わった時点で、次にしないといけないことが意識の中には既に無くなっているのである(笑) 「今はもう誰も」というアリスの名曲があるが、もうしばらくしたら私は「今はもう何も」になるんだろうな(笑)