孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

刺身で打線を組んでみた

チーム名:フィッシュオールスターズ
監督:石垣 大(いしがき だい)

 

1番 マアジ
2番 キンメダイ
3番 シマアジ
4番 サバ
5番 カンパチ
6番 DH ケンサキイカ
7番 イサキ
8番 アワビ
9番 イシダイ
P(ピッチャー) ヒラマサ

 

〘1番 マアジ〙背番号(?)「ゼイゴ」
アジは美味い。まずは刺身から晩ごはんや宴に突入という場面で、華のトップステージを飾るのはこのあたりから攻めるのがいい。夏のマアジは特に美味い。味がいいからアジと名付けられたというのは真偽のほどは知らないが有名な話だ。ほんと、アジは幸せの味がする。

〘2番 キンメダイ〙背番号「目ェデッカ!」
高級魚である。刺身以外でも何をしてもうまい魚。私の郷里では魚の煮汁でうどんやそうめんを食べる文化があるが((鯛そうめんみたいなものだ)、キンメで煮魚を作っただし汁は全く臭みもなく上品な逸品である。もちろん刺身も超一級だ。

〘3番 シマアジ〙背番号「味の宝石箱」
私の郷里の五島では「ヒラアジ」と呼ぶ。この魚が刺身のテッペンだという人も多い。私もコイツを4番にするか、最後まで迷った実力者だ。口が弱いのが玉にキズの魚で、釣りにおいては強引に引き合いをしたら口が切れてバラしてしまうことも少なくない。当然ながら大物ほど引きも強いから逃がした魚は大きくなる。

〘4番 サバ〙背番号「時々は会いたい」
刺身ではなかなか食べられない貴重品。サバという魚は生なら酢でしめるのがポピュラーだが、新鮮なものの刺身は、食べたことのない人ならきっと驚くと思う。一度でもコイツを食べた人なら、私がサバを4番バッターに推すのも理解してくれると思う。味わいの濃さと深みは夢に見る程である(笑)

〘5番 カンパチ〙背番号「遠い所に行ったヤツ」
実家に住んでた頃、ある日食卓に突如並ぶ威容のある姿。カンパチの大きいのがとれるとまずはご近所におすそ分けをしてから、家じゅうの大皿を集めてコイツの刺身を盛ったとしても、家族6~7人ではとても食べきれない。刺身では日持ちしないから煮たり焼いたりしてやっと消化する、初秋の事件でもある。しかし美味い。高価ゆえ、なかなか天然物のカンパチはお目にかからないが、夏が来ると、子供の頃をしみじみ思い出す。

〘6番 DH ケンサキイカ〙「色白の小悪魔」
手足が多いという理由でコイツは守備に入れない(?)ので、DHだ(笑) ケンサキは別名五島イカ。それくらい良くとれる。五島でイカといえばケンサキである。甲イカスルメイカの類いのネッチャリした食感ではなく、半透明な身を持った真夏のコイツのパキパキした食感がいい。

〘7番 イサキ〙 背番号「梅雨の貴公子」
薄い黄緑色をした、見るからに美味くなさそうな色をしながらギャップの大きな魚。魚の身の味の濃さを測ることができるなら、イサキはかなり上位にくるんじゃないだろうか。豪快にではなく上品に食べたくなる魚。またコイツは骨が鋭いから煮たり焼いたりした時には骨に注意しなきゃいけない。

〘8番 アワビ〙背番号「道具が無きゃとれない」
似た生き物にトコブシというバチもんみたいなヤツもいる。アワビの子供とトコブシは素人には見分けがつきにくいけど、慣れれば一発だ。味で言うなら生ならアワビ、煮たらトコブシ。地獄焼きといってアワビを焼き網の上に仰向けに置いて火をつける、残酷極まりない料理もあるけど、いうほど美味くないと思う。いや美味くなくはないんだけど、やっぱりアワビは生で食べたい。

〘9番 イシダイ〙背番号「縞があるのは若造」
皮を剥いだら嘘のように綺麗な白い身が現れる。ちょっと古いが「私、脱いでも凄いんです」みたいなヤツだ。経験上一番美味いのは3kg位かな。釣り人は5kgオーバーだクチジロ・クチグロ(老成して縞の消えた個体)だと言うけど、大き過ぎても美味くない。釣り上げた魚体の大きさを競争するのは、釣り人のイチビッた自慢でしかない。

〘ピッチャー ヒラマサ〙背番号「スマートな実力者」
釣ろうとするなら知識も暇も金もかかるお大尽の遊びになる魚。道具を揃えるだけでかなりのものだ。また都会に住む人にとっては遠征しないとお目にかかれない。コイツをしばしば食えるのは、私のような離島に育った人の特権かもしれない。ブリ属3種(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)の中では一番スマートで体の幅がない。他の2つに比べてアッサリしている夏のご馳走。

 なお代走やバント要員として、イワシ、キビナゴ、トビウオ、サンマなどの青物軍団が控える。彼らは間違いのないいい仕事をする。そして重量感たっぷりのクエ、マグロには一発のある代打として控えていてもらおう。またこのチームにはトリックプレーで相手を翻弄するヒラメというくせ者もいる(笑)