孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

「ウシ」の膵臓をたべたい

 生野のコリアンタウンに初めて足を踏み入れてから30年程経つだろうか。元々はとある美容師さんに聞いた情報からキムチを買いに行き、その美味さが衝撃的だったことがきっかけで通うことになった街だ。まだまだ世間では本格的なキムチや韓国食材にはお目にかかれなかった当時、トウモロコシ茶やチヂミ(特に甘鯛!)の味には感動したし、毎度行く度に今日は何を見つけられるかとワクワクしたものだ。

 初めて知った日から随分経った今でも独特の食文化恋しさに足を運ぶが、最近はあの商店街には若い女性が溢れ、韓流スターのポスターやCDなんかを扱う店、韓国コスメや型落ちの一流ブランド化粧品などを専門に扱う店が軒を並べており、ポップな看板を見ているとなんだか80年代の清里みたいだと思う(笑)

 キャーキャー黄色い声をあげながらハットグの列に並ぶ少女たちにとって、そこは観光地でしかないのだろうが、コリアンタウンと呼ばれる生野区の御幸通商店街界隈に住う韓国人の方々にとってはただの日常であり、あくまで毎日の食文化を支える場所でしかない。少なくとも昔は。そう言わねばならないのは、今やあの場所は「日本の若者、特に女性にとっての上澄みの韓国」になってしまったからだ。以前なら牛肉を売っている店にはタン(舌)の1本丸ごと売りやウシの脳まで売っていたし、豚肉を扱う店には蒸した豚の顔の皮がプロレスラーの覆面のように、無造作に店先に何枚も並んでいた。そしてその反面、今は多数あるコスメやアイドルショップなどは存在するはずもなかった。

 さて余談ながら肉屋の関連で少々ウンチクを。牛ホルモンの世界は奥が深い。ミノやテッチャン、ハツなんかがポピュラーかな。ハラミはどう見ても「肉」だけど、れっきとしたホルモンだってことを知っている人は少ない。あれは横隔膜だからね。様々なホルモン部位があるが、私はシビレとかグレンスと呼ばれる膵臓を食べたことがない。その部位を提供する店はあるのだろうか? あまりメニューで見たことがないもので。なんでも牛一頭からとれる膵臓は僅か200gだけという希少部位だというではないか。彼らの体重は700㎏〜800kgもあるのに! ヒトの膵臓は100g 弱くらいあるらしいから体重比率でみればヒトの方が膵臓は大きいといえる。

 少し前にヒットした、《君の膵臓をたべたい》という一瞬カニバリズムの小説なのかと聞きたくなるような名前の作品は、原作の書籍もアニメも良いけど、実写では世紀の美少女浜辺美波さんがたどたどしいながらも好演していた。ヒトの膵臓の重さの平均を考慮すると彼女の膵臓はほんの60〜70gほどに違いない。本、アニメ、実写と3段階ある作品は、最初に接したものでイメージが固まってしまい、2番目3番目に接したものはどうしてもイメージの違いから違和感が出る。でもあの作品はやっぱり本が一番だ。

 しかしウシは糖質たっぷりの穀物飼料を毎日たらふく食って糖尿にはならんのだろうか? もしかしたら飼料にインスリンが含まれてるとか、、、? だとしたらそのウシの膵臓機能は衰えるだろうなぁなどと色々思う、なぁんの医療知識もない私(笑)