孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

How salty ! しょっぺー!

 世の中の味は大体みんな濃い。なんで人はあんな濃い味の食い物が好きなんだろう? 素材そのものの味のことではなく、調味料が過剰に使用されているが故の濃さのことである。サラダのドレッシング、ホットドッグのケチャップ、味噌汁、牛丼、、、。そないに濃いせんとあかんか? もう少し薄味にして、噛むほどに滋味があり、作った人の優しい顔を自然に思い描ける、、、みたいな味の方がいいと思うんだけどなぁ。

 なんでほとんどの飲食店はあんなに攻撃的なまでに客の舌をガツンと攻撃したがるんだ? 確かに汗をかいた時、疲れた時には美味い!って思うかもしれないが、2口目からはもうしょっぱい。私の体はそれらを全部食べ切る程塩分を求めてはいない。

 私の中で一つ法則があって、「おかわり自由」の店は大体濃い味だ。宮本◯なしとか、◯いどおおきに食堂みたいなやつだね。味は美味しいよね、あんなタイプの店は。でもなんで濃い味なんだろうって考えた結果、結局おかわりをする多くは若者だから、よく食うのは当たり前だという単純な結論に至った。育ち盛り=濃い味 ということだな。でも事態はそんなに単純ではない(笑)   不思議なのは、というか嫌なのは、今や若い世代だけではなく、老若男女全てが育ち盛りの口同様、濃い味好みになってしまってることだ。

 人々のしょっぱぁ〜いもの好きの例をあげてみよう。知人が経営する美容サロンの新人が、日清のシーフードヌードルにマヨネーズを入れるのを見た時にはブッ飛んだ。信じられない(笑)   また別の知り合いのガキはポテトチップの袋の最後に残ったカスが美味いとヌカす。さらにウチの学園の生徒たちはカップラーメンにメーカー側が決めた内側の線の1㎝下にしか湯を入れなかったりする。このままだと子供たちは若くして脳卒中心筋梗塞で死ぬんじゃないか?って思うんだけど、これまた医学の発達で簡単に死にはしない。健康でないまま長生きをする訳だ。寿命はのびても健康寿命は短くなるんじゃ意味なかろうに。

 話は変わって味の素という調理における必需品になっているものがある。世間ではうまみ調味料などと呼ばれているが、ほとんどのインスタント食品はこの白い粉に席巻されているらしい。かなりたくさん入れても、辛い甘いなんかには直接ガツンと関係しないから気付かないんだけど、アレを入れるだけでなんだか味がまとまって、美味しい!って感じになるから悪魔的で不思議なヤツだ。私たちは騙されているんだろうか? でも人に聞いた話ながら、あのうまみ調味料には味を感じる器官である舌の『味蕾』の機能を低下させる力があるらしい。要するに味音痴になるわけだね。今の若者はていねいに出汁を取った上品な料理より、味の素をガンガン入れた濃くてエゲツない味のものの方が美味しいと感じるというから恐ろしいではないか。

 しかしなんでこんなことになったんだろうか。インスタント食品の功罪か、スナック菓子の仕業か、ファストフードの反逆か。世の中の味を牛耳っている悪者(『濃い味拡散党』とでも名付けようか)が、あらゆるものの味付けを徐々に濃くしていったのか、、、。当然免疫のない子供や若者が最初に毒牙にかかってしまった。

 私もインスタントの味噌汁やラーメンくらい食うが、味噌やスープの素は少し残す。全部入れたらしょっぱくてダメだからだ。しかしそれを見た人は不思議そうな顔をする場合が多い(笑)  

 日本は「濃い味帝国」になりつつある。誰か同じ感覚を持った人が近くに居ないものだろうか? 同じ苦しみを抱えた同士を集め、私は「日本薄味同盟」を結成した上で、「濃い味拡散党」に立ち向かわねばならないと真剣に考え始めている。必要なら武装もいとわないつもりである。武装といっても一番の武器は味を薄めるための水なのだが(笑)