孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

カンパチ

カンパチのシーズンだ。以前にも触れたが、ブリとヒラマサ、そしてこのカンパチを一見して区別がつけられればかなりの魚通だと思う。慣れないと全部一緒に見える。五島列島に住んでいた子供の頃、オジジが手釣りで釣ってきたこれらを庭の流しでさばくのを見るのが何より好きだった。まな板と包丁、薄黄色のアルミでボコボコになったボールとどんぶりを並べて、小さなかけ声とともに魚をさばいていく。頭を落とし、内臓を取ってどんぶりに入れたら次に身を3枚に下ろす。太い背骨も適当な大きさに切ってどんぶりに。左右の大きな半身から皮をゾリゾリと削ぎ取る。それが終わるとオジジは年季の入った出刃包丁を私に渡してくれる。小学生の私は大きな片方ずつの身を真っ直ぐに置き直し、中骨を挟んだ血合を細長く一筋切り取る。オジジは目を細めてそれを見ている。でもこんなことはオババに見られないようにしないとダメだ。「コドンに包丁ば持たせっ、なんしょっとかな!?あっぱかやかねー!」とオジジが怒られるからね(笑)  ちなみに「あっぱか」とは怖い、恐ろしいという意味である。

カンパチは他の2種(ブリ、ヒラマサ)に比べてデッカくなる。イメージとしてはブリに比べてヒラマサは細く長いが、カンパチはさらにガッシリした体型をしていて、大きいものは1.5m以上になるらしい。そこまでのヤツは見たことないけど。 生魚のしゃぶしゃぶなどという小洒落た食い方など知らなかった子供の頃は、なんといっても刺身だったが、経験上サクどりしたカンパチ独特のうっすら赤い身は、次の日に食べた方が旨味がある。キッチンペーパーを巻いてビニール袋に入れ、冷蔵庫で一晩寝かす、、、ああ思い出しただけで食いたくなるなぁ(笑)

グーグルアースで生家のあったあたりを探してみる。幸いその辺りにまで撮影のカメラは入ったと見える。オジジが包丁をふるった流しのあった庭には誰かの家が建っている。オジジも死んだし田舎も無くなった。海はきれいなままだと聞くけど、今あるのは思い出だけだ。