孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

嫌われたくない人は好かれない

嫌われたくないという意識が強すぎる人が多いと思う。でも経験上そんな人は好かれないし信用されない。だから成果をあげられない。なぜそうなるのか。答えは至極簡単だ。嫌われたくないというのは、他人のことより自分の立場を守りたいだけだからだ。相手を指摘・批判どころか、肯定しかしない人間に、誰が信用を寄せるというのか。

接客業や営業関係の仕事はファンを増やし多くの顧客に支持されなければ、どこにでもいる人材として、砂漠の中の一粒の砂の如く周囲と同化し、埋もれていくのみだ。我々美容師という職業も当然同様に、いやさらにその傾向は顕著である。美容師の人気は単純に1ヶ月あたりの指名数で計ることができるが、大阪はミナミで働いていた頃、指名客が月間200人あることが、一つの成功の指標だと何度も耳にした。これ以上の数の顧客を持てる美容師もいるが、人気者の方向には進めなかったどこにでもいる量産型の美容師は、うだつが上がらず冴えない「パーマ屋」の域を脱することができない。その人に切ってもらいたいと思う人が少ないのであれば、技術だけは上手いとしても売り上げを上げられないのだからそれも仕方ないことだ。そして、これは断言できるが、お客様のオーダーの通りに作業をするだけの美容師は、残念ながら一段上の領域には入ってはいけない。

ならば周囲から頭ひとつ抜きん出るには何が必要なのか? それは一言で言うなら、お客様の本当の希望を叶えることだ。お客様が口に出すオーダー通りに「はいはい」と応えるだけではなく、そのお客様が潜在的にどうなりたいのかという思いを探り、自分の考えを提案するということができるかどうかなのである。私個人の考え方ではあるが、時には強引だと言われたとしても、また言うことを聞いてくれないと叱られたとしても、少数のお客様から嫌われることを恐れて「オーダーはいはい美容師」に邁進するなら、その先の上昇はなく雇われ美容師としての賞味期限である40歳を迎える頃まで月給30万、年間400万程度で雇われ続けることになるのである。それは独立の気概と勇気を持てない男性美容師にとっては、その先にあるジリ貧の人生へのプロローグとなるというのが私の考えだ。