孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

方言

 唐突ながら私はトライリンガルである。長崎県の五島弁と大阪弁の2語はきっとTOEICで判定できるなら900点以上だし(笑)、島根県出雲弁も600点は取れる自信がある。もっとも今の住まいは南河内なので、河内弁寄りの大阪弁が日常語だ。私がまだ小さかった頃私たち家族が関西に住んでいた時期に、体の弱い母は事あるごとに寝込んでいた。辛そうな顔で横になっている母の横で私たち兄弟はよく遊んだ。うるさいとは言えなかったであろう母を思うと、当時を振り返り心から申し訳ない。布団の母に往診の医師が尋ねた。「奥さん、エラいか?」関西弁はまだ初段程度だった(笑)私は、この言葉の意味がわからなかった。この医者は母や私たち家族の社会的地位を調べて、診察料や往診料をむしり取ろうとしているのかもしれないと、勝手に誤解したという子供の頃の楽しくない思い出だ。
 ちなみにこのエラいという言葉には万能感がある。「しんどい」は言い訳をする時の常套句で嘘くさいし、「体調が悪い」では大層だ。「エラい」はそれを聞いた人に判断を委ねるし、聞く側の取りようで随分幅が広い便利な言葉だ。

 しかし方言というものが面白いのは、いい歳になった後「この言葉は大阪弁だったんだ!」と改めて気付くことがあることだ。以下、私自身少なからず衝撃だった言葉を並べてみる。


《フレッシュ》
 東京のカフェでこれを言って、キレイなお姉さんに不思議そうな顔をされたことを私は忘れはしない(笑) ちなみに東京なんかでは「すみませ〜ん!」とお店の人を呼んでも店内の客が一斉にこっちを向く(笑)
 ほんならどうせぇちゅーねん?

メバチコ》
 中学生の頃メバチコが大きく痛くなって眼科に行った。医者曰く「こら切らなあかんわ。痛いで」と。その初老の男は続けて「麻酔してもあんまり変わらんけど、するか?」と私に訊ねたのである。これは麻酔をしてもしなくても心の底から痛いってことだろってことだけはわかる。迷わず私は麻酔することを選んだのだが、診察室に入ってからここまでで僅かに1分位のものだ。私はただちにサディスティックに薄笑いを浮かべたハゲから施術を受けたのだが、麻酔の注射をしたあと、いきなりメスでグリグリまぶたをこねられ、気絶するのではないかと思うほど痛かった思い出である。


《押しピン》
 壁に留める道具としてアレはダメだ。
1.外しにくい   
2.錆びる 
3.みすぼらしい
ホント、3拍子揃っている。

《たいたん》
 カボチャが好きだ。大阪弁のニュアンスとしては「煮物」と言う意味ではなく、単品を炊いたものだと思っているが正しいだろうか。

《こそばい》
 こちょばいともいうかわいい言葉。子供が使う方言だけど、可愛い女性がこれを言えば、たいがいの男はヤラれる(笑)

《お造り》
 職人が使う言葉だったんじゃないのかなぁ。この言葉には気品があって凛としている。刺身よりやっぱりお造りだね。

《素うどん》
 高校の時、酢が入ってるから素うどんと呼ぶのだと本気で信じていたバカがいたが、今どうしてるだろうか。バカは中々治らないから今でもバカをやっているだろうか。やっていて欲しいなぁ(笑)

《えずく》
 子供の頃は舟に酔った。五島列島では人々の移動手段から舟を無くしたら生活はマヒする。乗り物酔いをする人にとっては、あらゆる乗り物の中でも舟は最も辛い。でも、大きめの舟なら確実に船酔いを防ぐ方法がある。甲板を歩いておけば良い。酔うからといって、大人たちは変に艦内の船室で横にさせようとするのだけど、アレはダメだ。甲板で鬼ゴッコでもさせとけば、子供はほぼ酔わない。

カッターシャツ
 これはホント最近まで方言だとは知らなかった。標準語だとワイシャツなのかな? ちょっと前まではボタンダウンがオシャレなオジさんのアイテムだったんだけど、あまりにも大衆に浸透し過ぎて、今や大きめの襟のボタンダウンは真面目っぽいサラリーマンの制服だな(笑) 段々とただのボタンダウンというより、進化して不動産屋風というかホスト風というか、襟腰の高いイヤラしいタイプのシャツまで一般に出回ってしまっている(笑) こうなるとオシャレな人はもうボタンダウンには手を出せない。

《豚まん》
 551だ。井村屋だ。ローソンだ。
冬は豚まんなんだよ。
肉まん?アホちゃう?
ブタなんだよ、ブタ!文句あるの?