孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

頭髪問題

 ここ最近めっきり少なくなってきた気がする。いや他の誰でもない、私の頭の毛のことだ。おかしいなぁ、決してこんなはずではなかったのに。若い頃は毛量が多くまた硬く、扱いに困るような髪の持主だったはずが今ではどうだ。頭のてっぺん辺りは月日とともに坂道を転がり落ちる石のように加速度がついて寂しくなってきているではないか(笑)


 私は美容師なので頭皮・毛髪の生理はわかっているし、内分泌の作用も知っている。私の年齢で頭頂部がウスくなるなら、間違いなく男性ホルモンであるテストステロンが優位になってる訳だが、間違っても私は男性ホルモンがぐいぐいキテいる方ではなく(笑)、どう見ても力強いというより頼りない感じだと思う。


 そんなこんなで私はハゲそのものには取り立てて格好悪いという感情は持ってはいないものの、それでもハゲない方がいいかなぁ〜、、、くらいに思いつつのほほんと生きているが、先日ドラッグストアで面白いモノを見つけた。頭髪の薄くなった部分に人工繊維が含まれた着色剤を吹き付けるというスプレーだ。新しいモノ好きの私は、思わず興味本位で一本買ったのだった。


 帰宅後早速試してみる。平時臥していることが多い妻は、その日もソファに体を横たえていたが、ちょうど見えている、鏡に対する私の顔がニヤけているとポツリとつぶやいた。知らない間に頬が緩んでいたらしい。しかしこの商品は平素使うことにはならないと思った。効果と情けない気持ちを天秤にかけると、情けない方が重いからだ。


 日本という国はハゲに厳しい。テレビを見ていても、「禿げとるやないかい!」と突っ込みたくなるような新郎が結婚式で永遠の愛を誓っていたりするし、英国のウィリアム王子だってあの通りだ。きっとハゲが市民権を得ているのだろう。というより欧米では社会生活を送る上で、禿げていようがいまいが、さして重要なことではないのかもしれない。


 今よりさらに毛量を失ってしまうことになれば、私は迷わずスキンヘッドにでもしたいのだが、そこに立ちはだかるのが家族の目である。娘は「ハゲたら嫌やで」と身もフタもなく言い放つ。この世で寿命まで生きるならば、どうあってもこの頭とはもうしばらく付き合わなければならないのだが、画期的な毛生え薬でも開発されない限り、この先は『減る一方』である(笑)   しかしハゲ克服の市場は巨大だから、そんな薬が出来てもすんなり商品化されることはなかろう。それで儲けているヤツも多いからね。優れた薬や画期的な仕組みなども、利権が絡んで公にはスムーズに出てこないのが悲しい浮世というものだ。