孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

組織の潤滑油

 我が校では長い間教職員を募集し続けている。常に未充足状態といってもいい。我が校は生徒の退学も教職員の退社も少ない方だと自負しているが、とにかく人がいない。いないから募集するのだが絶望的に来ない。やっと来ても面接に受からない。一体これはどうしたもんだろう。
 でもつい先日久しぶりに4名の応募者の二時面接をさせていただいたが、嬉しいことに1名の合格者を出せた。この方にとっては、我が校に入社するための次なるハードルは、学園のトップである理事長の面接ということになる。

 世の中には人事面接というものが好きな人がいる。面接される側ではなく面接官の方である。以前同僚に演劇をかじった人がいたが、この人が面接がとても好きな人だった。『好き』という思いが滲み出ていた。条件的に全く合わず、不合格であることが明確な応募者に対してさえ『あなたにとって仕事とはなんですか?』のような芝居がかったことをいくつも訊ねて、その場を自分が支配しようとする。ヘタをすると仕事談義でも始める勢いか?ということもあった。だから面接官として同席している私は早く終わりたくてイライラすることも何度かあったものだ。面接の場というのは圧倒的に応募者側が関係性としては下の立場になるから、要するに偉そうにできるのが嬉しいのである。まぁセコい小市民には違いない。

 さて有名な誰かが言った教えなのか、ベストセラーの本に書かれていたのかは知らないが、以前面接時に『潤滑油』というワードを使うといいと話題になったことがあった。面接の際『私は組織や仲間の中では潤滑油の役目として・・・』みたいなヤツだ。ある日スケジュールの都合で集団面接を5人という多人数で行うことがあった。自己紹介(アピール)を順にしてもらったところ、何とその中の3人が自分は潤滑油だと言ったのである。
 こうなるともはや面接室は油でベトベトである(笑) 殺伐とした職場の中で、その人がいるために全員がギスギスせずに済む、ということを言いたいのだろうが、今ひとつピンと来ないのも事実だ(笑) そう聞くと一瞬『ふ〜ん』とは思うが私自身はそんな人よりキチンと聴けて、キチンと自分の頭で考えられて、キチンと主張することのできる人が、ノドから手が出るほど欲しい、、、。