孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

ああ勘違い ➖日本語編➖

 しばらく前に標題の『英語編』を書かせていただいたが、今日は日本語である。ネットを覗いたら簡単にこの手の屁理屈は探せるけど、あくまで本当に実生活において『へぇ、知らんかったわぁ!』と私自身が思ったものに限り並べてみた。


《姑息》
 『その場しのぎ』の意だとはいうものの、この言葉が世の中で使われるときには別のニュアンスを含んでいる。だから私は間違いを指摘されたくないのでこの言葉は使用を控えている(自分でもセコいと思う)。しかし言葉というものは移ろいゆくものだから『間違ってるけどみんな使ってる』という位置付けからさらに進み、向こう数十年の間にこの言葉は『卑怯』とか『セコイ』のような意味で堂々と使用することになる。断言する。

《爆笑》
 『爆笑する』は大笑いすることだと、いい歳になるまで思っていた。SNSなどで、『(笑)』という笑い話の最後に付けるマーク(?)があるが、そのシリーズの上位に『(爆)』がある。でも『大勢の人が一斉に笑う』というのが『爆笑』の意味ならば、『(爆)』は使えない。その文を書いているのは1人であり、大勢で笑っている訳ではないからだ。


《日和る》
 私事ながら私の娘が生まれたとき、名前の候補に『日和(ひより)』があった。本気でそうしようかとも思ったが、『誰もが読める名前にしてあげようよ』という私の母の言葉に、妙に納得してそう名付けるのをやめた経緯がある。この名前を持っている人には申し訳ないが、やめて良かったと思う。なぜなら今、我が校の学生なんかがこの言葉を使うときには『怖気づく』という意味で使われているからだ。そんな名前の持主は人生ビビってるみたいに聞こえるじゃないか。

A級戦犯
 『主犯格』みたいな意味がある言葉だと長らく思っていた。日本史における東京裁判のことを知るまでは。きっと『A』というのが悪いのだと思う。仮に戦犯のことでなくとも、A級B級C級と並べられると、A級が良くも悪くも程度が一番著しいもののように感じてしまうからだ。だから同じ戦犯の中でも、最も極悪な犯人のように聞こえることが、靖国問題などにも暗い影を落としているように感じている。曰く『A級戦犯も祀られている所に一国の総理大臣が参拝するのか?』といった野党の決まり文句だ。あれは『A』を悪用している。

高級アルコール系》
 A級戦犯と同様に、この『直接は関係ないのに語感からなんとなくイメージしてしまう価値』というのは他にもある。例えば私たち美容師にとっては身近な言葉である『高級アルコール系』という名称だ。これはシャンプーの洗浄成分である合成界面活性剤のタイプの一つなのだが、高級とは名ばかり、価格は逆に安いのである。逆に『石けん系』などと言われると『え?石けん?毛ェガシガシになるやん!?』となるのだが、全くそんなことはなく洗浄力はソフトだし、価格も高級アルコール系に比較して相対的に高い。

《お名前を頂戴する》
 ブライダルやホテル、高級店なんかで馴染みの言葉だが、『頂戴する』はやっぱりおかしい。いや、正確には『今は間違ってると思ってる』。英語の慣用句として May I have your name?ってのもあるからその翻訳としては正しいんだけど、その辺にいるマナー講師ではなく、ちゃんとした日本語の権威に尋ねてみたい。

役不足
 つい先日の業務報告会の席上、グループ校の幹部がこの勘違いを実践していた。『先方は理事長がお見えになるのですが、こちら側の対応は私でよろしいですか?なんとなく役不足な感じで気が引けるのですが・・・』と。私自身このことを知ったのは校長になってからなのかもしれない。無知ほど怖いものはない。お節介だと嫌な顔をされるかもしれないが、しゃーない、やっぱり教えてあげようか。