孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

動物愛護

 最近はペットに対して家族のように接し、あたかも生き物としての価値が人間と同等であるかのように扱う人が増えた。「猫にエサをあげる」とか「犬が亡くなった」と表現することがおかしいとも思わない人たちだ。

 TVでは大物お笑い芸人の冠番組もあるし、それには国民的男性アイドルも出演しているので、視聴率もいいだろうし当然影響力もあるだろうと思う。娘が好きなので時々観たりするが、動物たちの持ち上げ方が異常だと思ってしまう。じゃ、見なきゃいいじゃないか!と言われればその通りだけど、公共の電波を使い(子供だって観ているだろう)、人と動物との位置関係がおかしくなるような番組の放送は、正しい情操教育には繋がらないと私は思う。

 犬や猫の殺処分を無くそうと言い、その活動に私財を犠牲にしている、という人がいる。家の中には犬や猫が走り回る。誠に気高い考え方であり崇高な精神なのだろう。しかし私はどうしても違和感を覚える。こんな人は生き物全てを殺すな!と言っているのか、それとも犬や猫が好きで可愛いから殺すな!と言っているのだろうか。保健所の専門部署の手で殺されてしまうこと。いわゆる殺処分。なるほどそんな不幸な生の終え方はあるまい。人間の一時的な感情や流行で勝手にペットショップから家に迎え、飽きたから保健所に引き取ってもらうというなどということができる人は、どこか精神的に重大な欠陥があるのだろう。

 しかし殺したらダメなのは哺乳類だからなのか。爬虫類ならいいのか。蚊やハエやゴキブリは?ダニやシラミは?細菌や病原微生物は? この子供みたいな問いかけにはしかし真実が潜む。この質問には殺処分反対派の人はどのように答えるのだろうか? その答えは人間の都合ではないのか? もしそうなら偉そうに偽善者ぶるのはやめるべきだ。仮に、神が創り賜うた生命というものを何人たりともその手によって終わらせてはいけない、のような精神がもし是ならば、風邪はおろかたとえ重篤感染症にかかっても抗生剤は使えないということだ。幼い我が子がインフルエンザで命の危険があったとしても、病原体であるウイルスは殺さないでほしいと思うのだろうか?

 以前ムツゴロウという愛称で動物王国なるものを建国(?)したエッセイストがしばしばTVに登場していた。彼の著作は若い頃随分読んだ。動物関係のものも多かったし、独特の恋愛観や人生哲学のようなものも小気味良く、麻雀の実力と相まって大好きな作家の一人には違いない。しかし彼の主張の中でただ一つどうしても同意できなかったのが、「鯨を殺すな」というものだった。鯨は頭が良くて可愛い、人間の友達なんだから殺すなと。・・・うーん。いくら高校3年生になってからは受験勉強らしいものは一切せずに東大に入った希代の天才であってもそこだけは相容れない。彼のこんな主張は偽善団体であるグリーンピースがやっている茶番と同じではないか。鯨と牛や豚は違う理由を是非聞きたいものだ。

 

 Bob Dylan ーone too many morningsよりー

   you can say it just as good.

   you’re right from your side.

   I'm right from mine.

   あなたの側からすれば
   あなたが正しいのだし
   私の側からすれば私が正しい・・・。