孤高の専門学校校長

感じるままに言いたい放題

マスメディアとコロナ

 私はマスコミというものを基本的に信用していない。もう5年近くになるか、熊本地震の際、泣いている子供や女性を写真に収めようとしている人や、屋根が落ちそうな家の前で映像におさめようと今か今かとカメラをかまえている人が何人もいるという話を聞いた。いずれも話す内容からマスコミ関係者であるとすぐわかったという。実は学校というものにもマスコミが関わることが少なくない。在校生だけでなく、卒業生がなんらかの事故や事件に関与した場合、毎年卒業生は増えていくため、聞き取りや捜査の対象の人数は増える一方である。私が経験する限り、その調査の仕方は執拗でいやらしい。生徒を捕まえて聞き出そうとしたり下校する生徒を待ち伏せたりするなど、こちらがやめてくれるようお願いしても、口では「はいはい」と言いながら平気でズカズカ踏み込んでくる。少し前、ある事件に我が学園の卒業生が関わったということから、名の知れたメディアの記者から、姉妹校の校長が何度も電話や来校の対応を余儀なくされた。個人情報やプライバシーに関することゆえ答えられないことも多かったことから、その記者から「あなたはその卒業生について説明する義務があるんじゃないですか!?」と詰め寄られたのも事実である。

 マスコミとはいったい何をするのが仕事なのだろう? 話題性が高いと見るや、とにかく事実や真実は横に置いておいて、派手に、大袈裟に、激しく、痛々しく、可哀想に演出する。情報の切り取りや使用する写真による印象操作など日常だし、何度かそんなこと耳にし経験すると、結局彼らは大衆の味方ではないのだとわかる。意図をもって情報を操作するマスコミに引っ張られる政府や官公庁も頼りないと思うものの、今の日本は残念ながら彼らの先導によりあっちにもこっちにも動かされている。大袈裟にいえばこの世は人心をもてあそぶマスコミに牛耳られているのだと思う。

 当然のように彼らはコロナに対してもやたらに怖い・危ない・大変だといってとにかく煽り、いたずらに人心を乱そうとする。Go to travelは止めるべきだ! マスコミにそう煽られた政府は Go to travel を結局止めたが、止めたら止めたで今度は旅行社側の悲鳴を喧伝する。実際あのキャンペーンをやめたら感染者が減ると見込んでいたんだろうが、そのことによって改善したようには私には見えない。検証はしたのだろうか? そもそもの話、コロナってそんなに恐れるほどの感染症なのか? インフルエンザなどの感染症でも重症になれば入院もするし死亡する病だ。しかし隔離もしないし治療する者が宇宙服まがいの防護服など身につけない。それもそうだ。少なくとも若年層では感染者のほぼ全員が大したことにはならない。死んでいるのはほとんど老人ばかりだ。少々乱暴な言い方をすれば、私はマスコミの大騒ぎのおかげで現在のようなエボラ出血熱並の戒厳体制を順守させられているのだと不満に思っている。今は熾烈なワクチン開発にようやく終止符が打たれた段階であるが(開発が早まった点だけはマスコミの手柄といえる)、接種する段階になったらなったで予想通り副反応だ副作用だ、蕁麻疹に悪寒・発熱だと騒ぎ立てる。それによりこれまた予想通り「副反応が怖い」と思う人が少なくない。風邪薬だって頭痛薬だって、はては化粧品だって効能以外に何らかの反応が起きる可能性はゼロであるはずはないのだが、振り返ればやはりマスコミによって子宮頸がんワクチンの接種は危険なものと位置付けられた過去(重篤な副反応は100万~400万例に1件程度)を思い出す。

 自宅待機や隔離の日数もマスコミのお陰でそう決まり、いまだに下方修正できないでいるが、その影響力は巡り巡って我が校のような一専門学校にも及ぶ。国家試験の受験中である我が校の生徒はコロナの濃厚接触者になることが何より怖いというのが正直なところだ。なぜなら少なくとも陽性者との最後の接触から14日間は全く身体症状はないにもかかわらず自宅で待機しておかなければならないからだ。陽性と判定されても若年層なら症状はほぼ無いにもかかわらず、もし試験日がこの14日の間にあったら、今の決まりでは受験できない。腹が立つのは自宅待機を指示された者が、個人的に医療機関等で陰性証明をもらったとしても受験できることにはならないことである。国家試験を取り仕切っている公的機関に問い合わせても「保健所の指示に従ってください」というお役所方式の一点張りで、ダメなものはダメだという。私はなんでこんな大した病気でもないものにこんなに大騒ぎしているのだろうと思っているから、こんな生徒が事実我が校で1人発生してしまった際、怒りを通り越して放心してしまった。これは私感でしかないが、来年になった頃にはコロナ感染症など大した病気ではなくなっているのではないかと思っている。ジカ熱やデング熱のようにフェードアウトして。きっと「去年はあんなことで大騒ぎしたんだよねー」などと言いながら笑っているのではないだろうか。

 ちなみにこれだけマスコミが騒ぎ立てた今、東京オリンピックは本当にあるのだろうか? 毎日毎日〇人感染、〇人死亡!と喧伝しているならば中止か再延期にしないと辻褄は合わないんじゃないのか? ふと思ったのだが、出場する選手が濃厚接触者と判定されて自宅待機期間中だった場合、出場についてどう扱うつもりだろう? 本来なら出場はできないはずなのだが・・・。しかしきっとこれまたマスコミがその選手がこれまでどれだけの努力や困難を克服してオリンピック出場することになったかを、お得意のお涙頂戴の筋書きを作り、体調が悪くない限り陰性証明を出させるなどしておそらく出場できることにするんじゃないかなぁなんて勝手に思っている。今の規定のままだと、ある選手が来日後に陽性の判定になった場合、濃厚接触者も相当数出る可能性がある。国家の威信や多くの予算をかけ、また国民の期待を一身に背負い来日している選手たちだ。簡単には「待機」させられないだろう。オリンピックが開催された場合、そんなことになった出場選手の処遇を皮肉を込めた目で見ているところだ。